口腔内や舌が乾くドライマウスは、だ液の量が減ることが大きな原因の一つですが、このだ液には大きく2種類あることをご存じですか? 一つは食べものを消化させるだ液で、ネットリとしています。もう一つは食べものを食道に流し込むだ液で、こちらはサラサラとした性状です。ドライマウスは、このサラサラとしただ液の分泌が減少する病気なのです。
ドライマウスになる患者さんは圧倒的に女性が多く、年齢は30~60歳代の方が多いことから、更年期や閉経と関係があるのではないかと言われています。また、化学調味料やスナック菓子などに多く含まれるナトリウム・カリウムも原因の一つだと考えられています。
ドライマウスの初期症状は、口腔内がヒリヒリして、カステラ・マドレーヌなどの水分を奪うような食べものが食べづらくなります。そしてその状態が続くと、いつもならだ液と一緒に飲みこんでいるバイキンが口腔内で繁殖します。バイキンはザラザラとした舌の上を好むので、舌にはバイキンによる白い層や深い溝などができてきます。タバコを吸う方や刺激物を好む方などはこの症状が悪化する傾向にあるので要注意です。
- 口の中が乾く状態が3か月以上続く
- 口が乾いて、うまく話せない
- 口の中、舌がヒリヒリする
- だ液の分泌が少ないと感じる
- 唇がひび割れしやすい
- 口の中が乾いて夜中に目が覚める
- 食べものが口の中でくっつきやすく、食べづらい
- 舌が乾燥して白っぽくなっている
ドライマウスの治療としては、さまざまな方法があります。
- だ液腺を高周波電流で刺激して、だ液が出やすい状態にする方法
- 口腔内に保湿ジェルを塗ったり殺菌力のあるうがい薬でバイ菌を洗い流したりする方法(このとき歯ブラシなどで舌をこすったりすると、味覚障害を起こしてしまうことがあるので注意が必要です)
- シュガーレスガムを咬んだりアメをなめたり、舌の上で転がしたりしてだ液腺を刺激する方法
その他、睡眠不足を解消する・食生活を改善する・丁寧なブラッシング・禁煙・適度な運動など、日常生活の中で実践できる方法もたくさんあります。なお、ストレスが原因になっている人は、ストレス対策・リラクゼーション・自律訓練法などが功を奏することもあります。
糖尿病などの全身疾患や薬の副作用などが原因のドライマウスに関しては、まずはそれらの治療や原因除去が優先されます。