兼坂歯科医院
クマさんのひとりごと
噛むことの大切さについて
 自分の歯で噛んで食べれる事は非常に幸せだと云うお話をします。

 野生の動物が食べれなくなったらそれは即、死を意味します。人間も歯が無くなることでいろいろな弊害がでてきます。

 仮に一本歯を失ったとします。原因は虫歯、歯周病、事故等々ありますが、しばらくすると両隣の歯は倒れてきます。それと同時になくなった歯と噛みあっていた歯はのびてきます。

 これは歯が大きく育つわけではなく歯の根が骨の中からぬけだしてくるのです。つまり、一本歯を失うと同時にまわりの歯3本に影響がでてきてしまいます。顎のレベルで考えると自然に噛みにくい側では食べなくなります。

 その結果常に片噛みの状態になってきます。そうすると当然よく使う筋肉は発達し使われなくなった筋肉は衰えてしまいます。すると顔が左右でゆがんでしまうのです。また、顔の筋肉と頭や首の筋肉はつながっていますから頭痛や肩こり、背中の痛み、腰の痛みにつながってくることもあります。噛み合わせを直したら頭痛が治ってしまったという例はたくさんあります。

 噛むという刺激は脳にとっても非常に大切で、痴呆症でひとりでは治療に来れなかった方がブリッジと義歯でしっかり噛めるようになったら、ひとりで通院し会計も予約も自分でできるようになってご家族と手をとりあって喜んだこともあります。

 歯を失っても 『たかが一本』 などと思わないでくださいね。

歯ブラシの選び方
 『しっかり歯をみがきましょう。』と言われてもどんな歯ブラシを使えばいいの?

 大きさ、毛の硬さ、柄の長さ、太さなど歯ブラシを選ぶ基準はいろいろあります。もちろんブラッシング指導をする人によってさまざまな意見がありますが、ここでは当院で患者さんに普段説明していることを書きます。

 スーパーや薬局で売られている歯ブラシで合格点を与えられるものはありません。すべて頭の部分が大きすぎるのです。これは非常にくだらない理由からです。

 昔、味の素KKが売り上げを伸ばすために穴の大きさを少しだけ大きくしたことがあるそうです。これと考え方は一緒で歯磨き粉をたくさん売るために歯ブラシの頭を大きめに作っているのです。頭が大きければそれだけ一回に使う歯磨き粉の量は増えるわけで、皆、メーカーの思うつぼにはまっているのです。

 もし市販の歯ブラシを使うのであれば柄に近い方の毛を2列位引き抜いてください。ペンチのようなもので簡単にぬけます。なぜ小さい歯ブラシをお勧めするかというと奥歯の方を磨く時に小回りが効きやすいのと大きな歯ブラシを無理につっこんだらだれでもゲエー^となりますよね。

 皆さんメーカーの思惑にのらないでくださいね。

歯磨き粉について
 薬局へ行くと本当にたくさんの歯磨き粉が並んでいます。テレビのコマーシャルを見ていると酵素が入っていたり3色だったり売るために必死ですよね。

 でも本当に大切なことは一行もふれられていません。買う時には必ず箱の裏を見て『研磨剤』が入っているものは避けるべきです。研磨剤が入っていると長い間に歯の表面を少しずつ傷つけてしまうからです。

 それと酵素が汚れを分解などという表示に惑わされないでください。どんなに強力な酵素が入っていたとしても歯ブラシでしっかり汚れを落とさなければきれいにはなりません。

 また一回につける歯磨き粉の量は毛の半分位を目安にしてください。たくさんつけるとスースーするだけできれいになった気になってしまうからです。

赤ちゃんのお口の清掃について
 歯ブラシは歯が生えてからでいいと思っているお母さん........それでは遅いんですよ。  おっぱいを飲んだあとに口の中が白くなっていることがありませんか? あれは口の中で醗酵が始まっているのです。

 おっぱいを飲んだあとは必ず白湯を飲ませてください。そのあとにガーゼをお湯でぬらしてお母さんの指に巻き付けてやさしく拭いてあげてください。このときに注意してほしいのが、きれいにしたい一心で強くなりすぎないようにしてください。ここで口をきれいにする習慣がつくとスムーズに歯ブラシに移行できます。

 そして歯が2〜3本生えてきたらお母さんの指にはめる指サック型の歯ブラシをお薦めします。やわらかい塩ビなので赤ちゃんが急に動いても歯ぐきを傷つける心配がありません。

子供のブラッシング
 最初にポジションから説明します。お子さんは必ずあおむけに寝かせます。お母さんが正座をしてひざに頭をのせ、上から覗き込むようにします。見にくい時は顔を左右に傾けて必ず目で磨きたい場所を直視しながら磨いてください。

 歯ブラシはなるべく小さいものを選び(大きいと十分にうごきません)、やさしく毛先を使って磨いてください。このとき大人は上から下、右から左と勝手にルールを作ってしまいがちですが、決してこだわらずに磨ける所から磨いてください。子供の歯は奥歯の溝が虫歯になりやすいのですが、歯と歯の間や歯肉との境目も虫歯になりやすい場所ですから忘れないでください。

 やはりこの時も力を入れすぎないことがポイントです。診療室では嫌がらずに磨かせてくれるのに家では磨かせないという声をよく聴きますが、実際にお母さんに磨いてもらうと『それじゃ 可哀想でしょ』というくらい力が入っています。

 ブラッシングはその日1日できればよいというものではなく一生死ぬまで続けなければいけないものです。お子さんのご機嫌が悪い時は決して無理をせず、『トラウマを作らないことのほうが大事だ』くらいの気持ちで毎日がんばってください。

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